2010.06.18
インドを席巻する日本企業
人口約12億人を抱える一大市場のインド。
現在の出生率が続けば、
2030年までに中国を抜いて世界一になると言われています。
BRICSの一翼を担うこの国のGDP成長率は、去年こそ失速したものの、
07年までは9%前後を記録するなど、驚異的に伸びてきておりました。
中国の目覚ましい発展を目の当たりにしてきた僕らは、
インドもさぞかし発展していることだろう、
と、思ってました。
しかし、実際にこの目で見たインドは、
街並みは古き石造りのままで、
道は舗装されど、そこを走る車は排気ガスを撒き散らすオンボロカーか二輪。
街中をリキシャ(人力車)が走り回る光景からは、
活気は感じるも、まるで発展してるようには思えませんでした。
特に流通に関しては、特に目立ったショッピングセンターなるものは少なく、
ほとんどが個人商店でやっているようなお店ばかりなので、
ここで販路を築くのは、メーカーとしては難しいだろうな、と感じさせます。
そんな中でも、インド全土でCOOL JAPANを手掛ける
誇るべき日本企業にいくつか出会うことができました。
まずは、自動車メーカー、スズキの子会社、
『MARUTI SUZUKI(マルチスズキ)』。
インドでは、タクシーまでもがこの『MARUTI SUZUKI』のロゴを付けた車です。
07年度まで17%台と言う驚異的な伸び率で推移したインドの乗用車市場の、
なんと約5割のシェアを獲得した、ナンバー1企業なのです。
インド企業で有名なTATA自動車のシェアが
現代自動車に続く3番手の15%程度なので、
驚異的なシェア率と言うことが分かります。
スズキは他社がアメリカ進出を進める1980年代に、
あえてインドを始めとした途上国進出に力を入れ、
アルトを始めとした40万円台の廉価車に投入し、
着々とシェアを獲得していったようです。
トヨタやホンダも本格進出を決めているインド自動車市場ですが、
30年かけてインド全土に構築された販売網を要する
スズキのアドバンテージは変わらないと思います。
続いて、二輪市場を席巻するのが『HERO HONDA』。
途上国が中心となる二輪市場において、
インドは中国に次ぐ一大市場。
2010年には1000万台を超える勢いのインドの二輪市場において、
ホンダはシェア約5割を占め、2位のBAJAJ AUTOを2倍近く引き離しています。
ヤマハ発動機も三井物産との合弁会社
「インディア・ヤマハ・モーター」で展開をし、
現在は1%程度のシェア率ですが、
2009年前期には対前年比80%増の販売台数を記録したとか。
日本車が人気なのは、やはりその品質。
砂埃が舞う途上国においては、
壊れにくいことが最大の鍵を握るように思えますが、
さすがは我らが日本メーカー。
故障が少なく、メンテナンス体制もしっかりと整備されていることが、
インドでも人気の秘訣とか。
そして、通信業界においては、『TATA DOCOMO』!
大手財閥TATAグループが展開するTTSLに、
日本のDOCOMOが出資し、新ブランドを展開したのです。
インドの携帯市場は、2009年11月末に5億件を突破したと思いきや、
わずか5カ月足らずの間に、6億件を突破。
今や中国の8億弱のマーケットに次ぐ、世界2番手のマーケットです。
戦略もがんばっていて、
これまで分単位でしか課金できなかったところ、
秒単位での課金制を投入し、他社もそれに追随せざるえなくなるなど、
新しい料金体系を投入しました。
街中には、多様な言語、文化を考慮したデザインの
『TATA DOCOMO』のポスターが張り巡らされています。
多数のキャリアがひしめき合うインドの携帯市場においては、
まだ5~6番手あたりのキャリアに当たるのですが、
是非とも、この群雄割拠の携帯市場で勝ち残って欲しいものです。
こんな3社に共通しているのが、
現地の会社との合弁会社としての展開です。
スズキは、元々国営企業であったMARUTI社と、
ホンダは、財閥系のHERO社と、
ドコモも、言わずと知れたTATAグループと。
旅をするだけでもカルチャーショックの連続のインドにおいては、
日本流を強要するのではなく、現地のスタイルに馴染ませながら、
独自の販路を築いていくことが、成功の鍵を握るのでしょう。
インド市場を折檻する
日本企業の"COOL JAPAN"を、
心から誇りに思うのと同時に、
今後の活躍を応援して止みません。
2010.06.18 Friday | 17:44 | comments(0) | trackbacks(0) | by KOJI
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